死につつあるのはPCか、それともタブレットか
MacとiPadが再逆転:「ポストPC」はどこへ行った?
2010年、故スティーブ・ジョブズ氏が初代iPadを発表し、「ポストPC時代」が本格的に始まった、と喧伝されました。
実際、iPhoneと異なりPCなみの大型画面を備えた「タブレット」であるiPadは、当時人気のあったネットブックPCを全滅させ、短期間で世界中に普及しました。
しかし、ここにきてタブレットの元祖、iPadの様子がおかしい。直近では、何と3年ぶりにMacとiPadの売上が逆転したといいます。
「Mac」の販売好調--売上高で「iPad」上回る - CNET Japan
新興国などの競合メーカーが作る低価格品との競合が激化しているのなら、iPhoneやMacも事情は同じ。しかし、実際にはこれらは成長していて、iPad(タブレット)だけが苦戦している。
この理由は何なのか? 少し調べてみました。
減速の3つの原因
調査会社Gartnerが先週公表した調査報告によると、タブレットの成長鈍化の原因は「大画面スマートフォンとの競合」「買い替えサイクルの長期化」であるとしています。
世界のタブレット市場、2014年出荷台数伸びが鈍化--ガートナー調査 - CNET Japan
第一に、タブレットは、代わりとなる端末との激しい競争に直面している。大型画面を備えたスマートフォン(ファブレット)は、既にタブレットを購入した可能性がある消費者、あるいは購入したいと考えていた消費者の人気を集めている。しかし同時に、Gartnerは、ハイブリッド端末や2-in-1端末といった異なる種類のモバイル機器を従来型のタブレットのより手ごわい競合製品とみている。
第二に、これまでのタブレットユーザーが、現在使用している端末を交換する傾向が弱まりつつあるということだ。Gartnerの予測によると、同業界では2018年までに、新たなタブレット購入者数が9000万人減少し、タブレットの交換台数は1億5500万台減少するという。
(報告原文)
Gartner Says Sales of Tablets Will Represent Less Than 10 Percent of All Devices in 2014
これらに加え、Newsweekでは「用途が限られている」ことを指摘しています。
「第3の端末」iPadに見えた限界 | ビジネス | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト
ただしタブレット端末の宿命で、普及には限界がある。飛行機の機内で映画を見たり朝食を取りながら電子メールをチェックするには便利だが、仕事にも使うメインのマシンとしてはパワーも汎用性もデスクトップやラップトップに及ばない。
その結果iPadはスマートフォンやPCに次ぐ「第3の端末」に甘んじている。当然、必要とする人も買える人も限られる。
これらの指摘は、私自身がiPadを使っていた時の実感にかなり近い。「買ってはみたがiPhoneで事足りる」→「出番が限られる」→「買い替えする気が起らない」
私の場合、「パソコン、時々タブレット」のSurfaceシリーズは実に便利だった。
PCとタブレット。どちらもすぐ死ぬわけではないが、さらに進化する余地はある
私自身は、コンシューマー向けのPC市場は次第に衰退していくと思っています。
一方で、現状の純粋なタブレットも用途に限界がある。
PCとタブレットの長所を兼ね備えた新世代のデバイスが求められていると思います。
すなわち、キーボード・マウスで使えて、かつ、セキュリティ維持やシステム管理の手間なく安心して使える製品。
Surfaceシリーズは、もっともここに近い製品のように思うのですが、あと一歩の進化に期待したいところです。