Office 365の全面普及で、どうなるSurface?
Announcing Office 365 Personal: A new way to access Office 365! | Office Blogs
「Office 365」は、マルチデバイス時代の新しいOffice。その普及は、デバイスの世界にも変革をもたらす
「Office 365」は、昨年Office 2013と同時に発売された新しい製品です。
ただ、日本では個人向けにはまだ提供されていないので、ほとんどの方にはなじみの少ない存在かもしれません。
この製品は、一言でいえば月額(年額)課金、いわゆる「サブスクリプション」型のOfficeです。毎月一定額を支払うことで、複数のデバイスで最新バージョンのOfficeを継続して利用することができます。
Office 365は、「Officeの未来形」であり、これから主流になっていくと考えられる製品です。同時に、このOffice 365により、Surfaceシリーズは大きな影響を受けることが予想されます。
本記事では、なぜそのような影響が及ぶのか、探ってみたいと思います。
サブスクリプションサービスは、すでに珍しくない存在
このような定額制のサブスクリプションサービスは、それほど珍しい存在というわけではありません。
- ウイルスバスターやノートンなどのセキュリティソフトは、初回更新時以降は毎年一定額を支払うことにより、複数台のマシンで最新版のソフトウェアと定義ファイルを利用することができます。
- 老舗の日本語変換ソフト「ATOK」は、定額制の「ATOK Passport」を提供しています。
- プロ向けの定番、Adobe「Photoshop」「Illustrator」のパッケージ版(Creative Suite)は開発終了し、定額制の「Creative Cloud」に移行しています。これは、同社の業績好調にも大きく貢献しているようです。
アドビ、第1四半期決算を発表--「Creative Cloud」が引き続き好調 - CNET Japan
サブスクリプション形式のメリットは、「マルチデバイス」「最新版」の利用
サブスクリプション形式には、「複数のデバイスで利用できる(マルチデバイス)」「契約期間内なら常に最新版を利用できる」というメリットがあります。
「ATOK」の例でいうと、「所有しているデバイスに、Windows・Mac・Androidを問わず最新のATOKをインストールして使える」ことになります。
デバイスを追加・買い替えするごとに、また、ソフトウェアがバージョンアップするごとに面倒くさい購入手続をとる必要がありません。
では、Officeのサブスクリプション版:Office 365とは?
昨年から米国で販売中の「Office 365 Home Premium」は、年額99.99ドル(約1万円)で、5台までのPCまたはMacと、5台までのスマートフォンに最新版のOfficeをインストールして利用できます。
Buy Microsoft Office 365 Home Premium - Office.com
現在、個人向けに提供されているOffice 365はHome Premiumのみですが、Microsoftによると、このHome Premiumは350万を上回る契約実績となっているようです。
そして、Personal版の登場でいよいよ全ユーザー層対象のサービスへ
Microsoftは3月13日に、Office 365の個人向けの展開に関し重要な発表を行いました。
「パソコン5台+スマホ5台」のHome Premiumに加え、「パソコン1台+タブレット1台」のPersonal版を追加投入するというのです。
米Microsoftは13日、個人利用に特化した「Office 365 Personal」を「今年春」に発売すると発表した。料金は年額69.99ドルまたは月額6.99ドルで、これまで最安のOffice 365 Home Premiumに比べて約3割安く利用できる。
Personalでは、一度に1台のPCまたはMac、そして1台のタブレットを同時利用可能。料金には最新版のOffice、1か月最大60分のSkype通話、OneDriveストレージ容量の追加分20GBが含まれる。コラボレーションに強いブラウザー版Officeである「Office Online」も利用できる。
新料金プランを設けた理由について、「世の中には様々な世帯がある。それが1人であっても、世帯全部であっても、すべての人に最適なOfficeを提供することを目指している」と説明している。
米Microsoft、月6.99ドルの個人向け「Office 365 Personal」今春発売 -INTERNET Watch
このPersonal版の投入によって、Office 365は「大所帯の家族向けの特別サービス」ではなく、「あらゆる個人ユーザーに向けた全方位型のサービス」への性格を変えるといえるでしょう。
また、ZDnetやThe VERGEによると、「Office for iPad」の投入が予想されており、Personal版の「タブレット」にはiPadが含まれるものとみられます。
Microsoft CEO Nadella may unveil Office on iPad on March 27 | ZDNet
Microsoft Office for iPad will be unveiled this month | The Verge
Microsoftには、OfficeをWindowsから独立させてマルチデバイスのサービスと位置づけ、Office 365を今後の販売の主力にしていく狙いがあると私は思っています。
SurfaceのプレインストールOfficeはどうなる? 来週を待て
「Officeの未来形」=Office 365ですが、その普及により、残念ながらSurfaceシリーズにはよくない影響が及ぶ可能性があります。
それは、Office 365の契約をしていれば手持ちのタブレットで最新版のOfficeを利用する権利が得られるため、Surface最大の売りである「Officeプレインストール」という長所を打ち消すことになるからです!
Officeを外して値下げするのか? 「Office 365の2年間無償利用特典」を付けて共存を図るのか? Microsoftのさじ加減でSurfaceシリーズの商品力は大きく変わります。
3月27日、Nadella CEOはプレスイベントではたして何を語るのか?
Surfaceシリーズの行方を探るうえで、Officeの今後の戦略からは目が離せません。
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