Surface Pro 4 / 3 ビジネス活用日記

Surface Pro 4 / Surface 3 の意外と知らない活用法を発信します

スタートメニューの復活は過去への回帰ではなく、"Universal Windows Apps"への導線

 

f:id:iwam:20140409150411p:plain今日(米国時間4/2)、MicrosoftWindows担当執行副社長、Terry MyersonはBuildデベロッパー・カンファレンスのキーノート講演で、Microsoftは全面的にデスクトップをサポートすると語った。Myersonは「まだWindows 9について何か発表できる段階ではない」としたが、ユーザーの強い要望に応えて「近くWindows 8.1にスタートメニューを復活させる」と約束した。 

 朗報:MicrosoftがWindows 8.1に近くスタートメニューを復活させると約束 | TechCrunch Japan

 

スタートメニューは復活する。しかし、それはWindows 7への回帰ではない。

 

先週のBuildカンファレンスでは、「スタートメニューの復活」がニュースとして大きく取り上げられました。

冒頭に引用した記事もそうですが、全体に好意的に報じられているようです。

 

消えたスタートメニューがWindows 8.1のアップデートで復活へ - GIGAZINE

マイクロソフト、Windows 8.1にスタートメニューを復活。ライブタイルつき - Engadget Japanese

 

Windows 8でスタートメニューが廃止され、タブレットで使いやすい「スタート画面」を採用したことがWindows 8が芳しくない評価を受けた最大の原因の1つであることを考えると、妥当な判断だと思います。

 

しかし、これは「Windows 8.1Windows 7の時代に回帰する」ということではありません。むしろ全く逆で、「パソコンユーザーにもWindowsストアアプリを使ってもらう」ための改良です。

 

この記事では、スタートメニューの復活は退化でも巻き戻しでもなく、「試行錯誤を経ての進化」だということについて書いてみたいと思います。

 

目的はWindowsストアアプリの普及。目標は変わらず、手段が変わっただけ

 

MicrosoftWindows 8を開発したのは、2010年のiPad発売を契機に、それまで市場に存在しなかったタブレットが急成長し、帝国を築いたPC市場を侵食し始めたからです。

 2013年には、タブレットの出荷台数はPCに匹敵する水準に達しています。

 

2013年のタブレット販売台数は1億9500万台。Androidがシェア62%で首位の座を奪取 | TechCrunch Japan

世界のパソコン出荷台数、2013年は9.8%減=IDC

 

Windows 8は、「スタート画面」「スワイプ操作」のようなタッチ主体の操作方法(UI)へ全面的に切り替えることで、タブレットをもWindowsの守備範囲に取り込むことを目指しました。

 

しかし、実際には、現にユーザーが使っているデバイスの大多数は依然としてマウスとキーボードで使うPCだったため、多くのユーザーにとっては「単に使いづらいWindows」になってしまいました。

 

その上、iOSAndroidに倣って導入した「Windowsストアアプリ」が充実しなかったことで、「タブレットでもやっぱり使いづらい」という批判を受け、Windowsタブレットの代表選手たる「Surface RT」は在庫の山を築きました。

 

調査機関によると、市場におけるWindows 8およびWindows 8.1のシェアは、2014年3月時点でPC全体の11.1%にとどまり、Windows 7やXPに大差をつけられています。

 

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Windows XPが下落に転じる - 3月OSシェア | マイナビニュース

 

控えめにいってもWindows 8は普及に成功したとはいいがたい、ということですね。

言い換えると、パソコンユーザーにタブレット流の操作を強要することは手段として適切ではなかった、ということです。

 

Windows 8.1が普及しないとアプリを使ってもらえない。そのためには、パソコンユーザーの取り込みが不可欠 

 

事態がこのように推移していることを踏まえて、Microsoftは軌道修正を図っています。

それは、「パソコンユーザーにはパソコンの、タブレットユーザーにはタブレットの操作方法(UI)を使ってもらう」ということです。

 

すなわち、「パソコンユーザーにはデスクトップでタスクバーとスタートメニューを使ってもらう」ということですね。 

 

そして、その目的は、「Windowsストアアプリをパソコンユーザーにつかってもらうこと」です。目的は、全く変わっていません。「UIを全面的に変更して全ユーザーに強制的に新UIを使わせる」という手段を撤回しただけです。

 

本日配信されたWindows 8.1 Updateで、タスクバーにWindowsストアアプリを表示することができるようになったのも、今後のアップデートでスタートメニューが復活するのも、この目的のためと考えられます。

 

ストアアプリ=Universal Windows Appsで、スマートフォンからPCまで、共通のアプリが動作する

 

では、なぜ、MicrosoftWindowsストアアプリを推進するのか? スマートフォンからPCまで、すべてのWindowsデバイスで共通の技術「Win RT」を採用し、デバイスの種類を問わず同じアプリを利用できるようにするためです。

 

この構想は、先週のBuildでは、"Universal Windows Apps"として公表されました。

 

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Universal Windows Appsにより、すべてのフォームファクターでWinRTが動作するようになったことで、1つのアプリが携帯電話からタブレット、PC、ゲーム機で動作する

【特別企画】Universal Windows AppsやOSの一部無償化で逆襲なるか? Build 2014からMicrosoftの戦略を見る - クラウド Watch

 

Microsoft also announced enhancements in the way developers can build applications that target the full range of Windows devices using Visual Studio 2013 Update 2 Release Candidate. Among other new capabilities, with the introduction of universal projects, developers are able to create apps that can be easily optimized to take full advantage of Windows devices. Developers of all types can draw upon their existing skills to deliver shared experiences for Windows Phone 8.1 and Windows 8.1 Update. Universal projects allow developers to use approximately 90 percent of the same code, a single packaging system, and a common user interface to target apps for phones, tablets and PCs.

Microsoft showcases latest updates to Windows, opportunities for developers

 

スタートメニューの復活は、この構想を実現するためのものであり、Microsoft最大の顧客層であるパソコンユーザーがWindows 8.1へ移行し、便利にストアアプリを使ってもらうための手段です。

 

結論:Microsoftはもはや帝国ではない。あらゆるユーザーに選択肢を提供する姿勢は好感できる

 

私も、Windows 8無印の使いづらさに閉口していたユーザーの一人です。

 

「これが正解だ!使え!」という姿勢は、AppleにはできてもMicrosoftにはあまり似合わない。

 

技術開発の方向と、実際のユーザーのフィードバックをすり合わせて、多種多様なユーザーが使いやすい操作方法の選択肢を提供する。そのための現実的な改良が、今回および次回のWindows 8.1アップデートです。

 

Buidl 2014で、「改良を続ける姿勢」を明確に示し、その内容を明らかにしたことは、大変好感が持てることだと思っています。

 

ところで、Microsoft様、Surfaceシリーズは今後どう展開するのでしょうか?

 

 

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